関西を拠点に新しい発想で多彩なテーマに挑戦。幅広い研究領域と調査活動から゛商業゛のメカニズムを読み解く。

将棋の風俗史 2

HOME > 企画展 > 将棋展〔解説〕 > 将棋の風俗史 2

2.将棋遊び

 将棋遊びは、友人とあるいは一人でも遊べる。「挟み将棋」「飛び将棋」「廻り将棋」ぺこ廻り・ひょこ廻り「盗み将棋」お金とり「弾き将棋」「将棋倒し」「利かず駒並べ」などがあり、これらの将棋に対して本将棋と呼んでいた。友人とよくしたのが「廻り将棋」と「盗み将棋」ではなかったかと思う。「盗み将棋」は別名、お金とりと言って、将棋箱を盤面にあてがい、駒が崩れないように将棋箱を抜く、箱の形の山から音がしないように指で運び、盤面の外側に落とす。音がしなかったり、二本の指で運ばなければ何回でもできる。このような経緯から「盗み将棋」という呼称が作られたのかも知れない。

 「廻り将棋」は別名ぺこ廻り・ひょこ廻りと言っていた様に思う。歩の読みは、歩兵と書いてフヒョウ、歩を取り、単に兵の読みからヘイ・ヒョウ、薩摩では、兵児組・兵児帯、鹿児島では兵児、どちらにしても一兵が出世していくようなゲームである。将棋では歩が一兵である。四人で遊ぶ場合には、四隅に「歩」を置き、金四枚を振って出た目により進行していく。表が出れば四つ進む、全部裏なら進むことができない。金が横向きなら五をあらわし、立つと十になる。それなら逆さに立つとどうなるかと言えば、千になる。

 このような決まりで回るのだが、丁度隅にくると歩から出世して香になる。以下同様に桂馬・銀将・金将・角・飛車・王になるのだが、回っている時に位の上の駒に抜かれると、抜かれた場所で死ぬのである。駒が死んでいる間は、だまって見守るだけになる。しかし、位の上の駒が死んでいる場所を通過すると、生き返ってゲームに参加することができる。

 王になって自分が最初に置いた「歩」の場所に留まるようにしなければ、永遠に回り続けることになる。所定の場所におさまれば、そこから中央に向いて進み、真ん中におさまれば勝つことになる。