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将棋駒の鑑賞法 3

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3.駒の木地

 昔から高級な将棋駒にはツゲの木が使われていた。緻密で堅く耐久性があるため、将棋駒に適しているからである。日本では特に御蔵島産の御蔵ツゲと鹿児島産の薩摩ツゲが有名である。中国産のツゲも輸入されているが、日本産と比べもろさが見られるようである。ツゲ以外の木材が使われることももちろんあり、色のついた紫檀材の駒、木材以外には陶器や象牙のものもある。ホウ、マキ、カエデなどの木材は安価なため普及品用として使われる。
 巻菱湖書良尊作孔雀杢盛上駒の駒の木地をよく見ると、孔雀が羽を広げたような模様になっている。 この模様は「孔雀杢」と呼ばれ、幹の枝分かれの部分に出現するのであるが、すべて孔雀杢でそろえ1組の駒を制作するのに数十本のツゲが必要になるため、珍重される。このほか、木に出現する独特の模様には味わいがある。例えば、年輪の接線に対して直角で真芯に向かう線である放射線が変化した斑点が、虎の模様に見える虎斑や、根部分にあらわれる荒い年輪が特徴の根杢、そのほかには虎杢、銀目など名称も豊かである。もちろん木目のまっすぐ入った柾目を好む人も多い。また、赤みの強い柾のことを赤柾と呼ぶ。


巻菱湖書良尊作孔雀杢盛上駒〔森本孝高蔵〕