関西を拠点に新しい発想で多彩なテーマに挑戦。幅広い研究領域と調査活動から゛商業゛のメカニズムを読み解く。

寅 上方富興行 3

HOME > 企画展 > 富札展 > 寅 上方富興行 3

山階御殿御富仕法

 山階御殿御富仕法は、京都寺町三条誓願寺境内で、年4回、3月・6月・9月・12月の各5日に興行されます。札は仁・義・礼・智・信の5印として、1字1万枚、全部で5万枚を発行しています。当選者は2500口あり、当選金額の総額は金3088両になります。東寺と同様に札料は記載されていません。東寺のように試算してみます。金2朱を5万枚にかけると金6250両になりますが、これではあまりにも高すぎます。金1朱では金3125両になりますから、完売しても金37両の差益にしかなりません。80パーセントの売上げなら、金2500両で赤字です。山階御殿の奉納金は1割の定めがあり、完売の前提で奉納金を含めると金308両の収益になります。金六拾目定があることから、金2朱を銀に換算すると銀7匁5分となり、銀目で札料を考えれば、銀6匁でも妥当な収益は上るし、銀5匁ないし銀4匁でもよいことになります。因みに、銀4匁の売上金と差益は、売上金3333両、差益金245両になります。


山階御殿御富仕法(吉田昭二氏所蔵)