関西を拠点に新しい発想で多彩なテーマに挑戦。幅広い研究領域と調査活動から゛商業゛のメカニズムを読み解く。

寅 上方富興行 9

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五台山・石手寺・西林寺・峰寺・浄瑠璃寺鬮仕法

 この鬮仕法では五台山・石手寺・西林寺・峰寺・浄瑠璃寺が各3000枚宛、全部で15000枚の発行となっています。当り札は1番から100番までの本当りとそれ以外に200人分の花鬮を設けています。当り鬮には白木綿を賞品にしていますが、1反金2歩替、花鬮に出る手拭1筋は金1朱替という記載があるので、これで換算すると300人の当選総額は、金293両1朱と小さな金額に押さえられています。仮に札料金1朱で完売すると、金937両2分、差益は3倍となります。札料をもう少し小さな金額に設定してみると、銀2匁では、金500両の売上に対しての差益が金206両3分3朱となります。銀1匁5分なら、売上が金375両で、差益は金81両3分3朱となり、どれをとっても考えられる値段です。
 この富興行は、当り鬮に賞品を出す福引から賞金に移行する過渡的な形態としての特徴を備えています。


五台山・石手寺・西林寺・峰寺・浄瑠璃寺本鬮渡し方(吉田昭二氏所蔵)